映画『ロケットマン』は、衝撃的な告白劇ミュージカル
「ロケットマン」オフィシャル・ブック
観ました。
映画館なんて10年ぶり。それだけ観たかった映画。まず率直な感想。
「ここまで赤裸々に公開してよかったの?」と驚くほど衝撃的な内容。
詳しくはネタバレになるので控えますが、伝記映画って本人が知られたくない闇歴史が少なからず含まれているもの。
ほとんどは死後に作成されるのを、あえてエルトン自身が生きているときに、映画として残したのがすごい。
……もしかしたらスーパースターの自分でなく、等身大の自分を世界中のファンに知ってい欲しかったのかもしれませんね。72歳の今も現役で幸せだからこそ、若かりし頃の恥ずかしい部分をさらけ出せたのでしょう。
ただ、エルトン・ジョンをよく知らない人が鑑賞するには、内容が重すぎる。スーパースターの彼を知っているからこそ、闇の部分に驚くわけで……。
なので、欧米で大ヒットしても、日本でのヒットはどうなんでしょう?
(私が鑑賞した日はレディスデイなのに、観客10人もいなかった。日本ではエルトン人気が高くないのを、ここでも実感……涙)
もし観てみたい、と思っていたら、早めに映画館へ足を運ぶのをおすすめします。ボヘミアンラプソディのようにロングラン上映は高くない可能性有り。
以下、ややネタバレ。 いちファンとしての感想。
・とにかく再現度が半端ない!
映画が始まったときは、逞しいエルトンだな、と違和感あったのですが、タロンの演技がまさしくエルトン本人そのもの。作品世界に入るうちに、まったく気にならなくなり、最後あたりは本人と錯覚するほどの演技力がすごい。そして歌唱力も抜群で、エルトンそっくりの歌いっぷりに痺れた。
・子供時代の家庭環境が機能不全家族そのもの。とくに父親の冷たさが、エルトン自身の人格形成に大きな影響を与えたよう。
そして、本人がコンプレックスの塊で、自分のことを「嫌いだ」「普通になりたかった」とカウンセリングで告白したのが衝撃。
たしかに若い時分の写真観たら、ハンサムとは程遠いとは思うけど、まさか本人がそこまで気に病んでいたとは……。衣装をド派手でクレイジーにしていたのは、そんな醜い自分を覆い隠すためだったらしい。
・マネージャー、ジョン・リードとの関係に大大大衝撃! というか、そもそも、ええー、そんな関係だったの!? そして純粋なエルトンに対して、リードのビジネスライクな態度が残酷すぎる。
もしかしたら売れるかも、と唾をつけておいて、スターになったから利用した……としか思えない。(唾の意味は映画を観てください。)
アルティミット本では、ジョン・リード氏はまだご存命だそうでして。映画にしてよかったのか、と心配になるほどの衝撃。
・エルトンとバーニーの関係が、まるでホームズとワトソン。エルトン自身にとって、バーニーはなくてはならない存在。
……腐女子界隈でブロマンス(BrotherとRomansの合語)と呼ばれる関係に萌えそうだった(笑)
映画ではそっと優しくエルトンを見守るバーニーですが、実生活では4度もご結婚をされていたりして、エルトンに負けずぶっ飛んだ人。そういう意味でも、いろいろ気が合うのかも。
・バーニーが朝食時にさらさらと書いた詩に、エルトンが実家の居間のピアノで、あの名曲を生み出したシーンに心が震えた!
ああやってユア・ソングは生まれたのか、と。
映画を観て、エルトンはほとんどの音楽を即興で作っていたのを知った。そして少年時代、聴いた音楽をその場で聴いたまま弾ける姿は、まさしく天才としかいいようがない。
・少年エルトンが母シーラに「髪型を変えていい?」と言ったら、「うちの家系の男はみんな20歳すぎたらはげるから、今のうちに好きなようにしなさい」という会話に笑った。 ……本当にそう言ったのだったら、見事、当たっているのが写真で丸わかり(笑)
・ぎゃくにルックスが良かったら、私はここまでファンにならなかったです。エルトンの音楽が素晴らしいのは、愛されなかった過去やコンプレックスを見事に昇華させたものだから。美しい、楽しい、悲しい、嬉しい、がすべて詰まっている。
……と、映画を鑑賞して再認識。うまく言えませんが、存在が愛おしいキャラクター。まだ内気だったデビュー当時は本当にかわいいです。(あくまでも私の感想)
ほかにもまだまだありますが、ネタバレになるのでここまで。 ブルーレイ出たら購入します。
その前に、プレイヤーを買わないと(汗) 私、動画そのものをあまり観ないんで、プレイヤーすら持っていないという。DVDはパソコンで再生。以前はPS2というこだわりのなさをここで露呈。
エルトン・ジョンの伝記映画『ロケットマン』比較画像でわかる再現度の高さに注目
↑You Tube動画とリンク集があります。
エルトン・ジョン アルティミット・ガイド
↑初心者からマニアまで使える内容。97年10月号を持っていたら再録がけっこうあるのが欠点ですが、それを除けばアルバムガイドに最適です。
71年来日時のエルトンのインタビューが貴重! 音楽マニアっぷりがよく分かる内容(笑)
大人のロック! 特別編集 エルトン・ジョン ロケットマンの真実 (日経BPムック)
↑映画そのものをさらに詳しく知りたいときに。
少しだけ、個人的な思いを。
日本ではあまり人気ないのかな、とファンになった30年前当時から思ってました。
最初、ラジオでエルトンを知ったとき、まさかこれほどのスーパースターだったと知らなかったぐらい、私が疎かったのもありますが。
私が十代のとき、「音楽はエルトン・ジョンが好き」と言ったら、知らない、という同年代。そしてリア充女子に、馬鹿にされた苦い思い出も……。「今時チャゲアスやB'z、ミスチルに興味がないって、変わってるw」と。
そして、知っている年上の人は「ええ、本当に?ブサイクじゃん」とか「あのホ○の人?」と。笑うぐらいならせめてスルーしてほしかった。悪気はないとしても。
(そこで言い返せなかった自分だから、仕方ないかな、とも思っています。リア充の集団は今でも苦手……。
ファンはいらっしゃるんでしょうけど、少なくとも私の周囲で出会ったことはないです。ネットでもスキャンダル以外、日本語で話題になっているのをあまり見ないし。)
ロックな欧米人=少女漫画の王子様みたいなルックス、という先入観があるからかなあ。
実際、売れてなかったクイーンは、それで日本で人気が爆発したというぐらいだし。
……で、長年、リアルはもちろん、ネットでもほとんど話題にしていなかったのですが。
LGBTへの偏見が減って、伝記映画が公開されて嬉しい。
エルトンを偏見なく広く知ってもらえるし、ヒットしてファンが増えて欲しいな、と願っています。
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